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♪雨のウェンズデイ 【1981】

作詩 松本隆  /  作曲 大瀧詠一  /  編曲 多羅尾伴内

A  LONG  V・A・C・A・T・I・O・N
のなかでいちばん好きな曲。

詩、曲、編曲、歌唱、演奏、
すべてにおいて相当に湿度が高い。
吉田保謹製、極上音質。

イントロからなにから磨かれた音なのに、
どこか薄青いヴェールが掛かっているように聞こえる風。
ギターもピアノもドラムもベースもラテン楽器の数々も
程よく濡れて、本当に良い音がする。

他の曲ではあえて多くのミュージシャンを投入し、
演奏者の個性を打ち消しあって、
それを大きな効果(いわゆる オトノカベ)に結びつけているけれども、
この曲とあと1曲はバンド編成での録音をしたというから、
なるほど合点のゆく音がしている。
林立夫のスネアがはじける度に、雨粒が砕け散るような感覚がある。
また "♪wow wow Wednesday" の前後にきこえる 起伏のある
ベースのリフが、絶え間なく寄せる波のうねりを想起させ、
「僕」 の平坦な感情に少しずつ凹凸をつけてゆくようだ。

出だしは F#m7、全体的に絶妙な明度を保ちながら展開され、
ちょっと炭酸の抜けたサイダーっぽい感じを味わっていると、
途中ほんの少しだけ ひどくメジャーなコードが現れて、
雨模様の雲間から一瞬 陽が射すのを感じる仕掛けになっている。
なんというからくり人形師。

*******

発売当時リアルタイムで聴いたときの強烈な満足感、幸福感が
いまだ持続し、その時に描いた 「絵」 はいまも変わらない。

「壊れかけたワーゲン」 は空冷フラット4のビートル以外に
あり得ず、またそのボンネットに腰かけてしまうくらいだから
きっと自己所有なのだろう。
色はごく淡いブルー、ボディの艶が消えかかっており、
ワックスも効いていないからベターッと濡れていて
もしかしたら所々サビも浮いているかもしれないが、
決して海辺にうち棄てられた寂しい物件ではないだろう。
この主人公はクルマへの執着がさほどなくて、
中古で仕入れて日常の道具のように使っていると思われる。
このワーゲンが 「壊れかけ」 ているのは、
ややもするとどこか具合がわるいようにも聞こえる
古い水平対向エンジンの音からそう感じるのであって、
ここまで海を見に来たのだから 完動品に違いない。

ある水曜日の ある時間を切り取ってみたら、
第三者からみれば それはそれは素敵なシーンなのに、
二人の間に降り続けるあたたかい雨が、
なんだか微妙なその関係を適度に断続させていて、
結局いずれは別れてしまう運命なのだろう。
と、当時の自分は思った。

*******

それにしても 「菫色」 の雨を降らすなんて
ずいぶんとメランコリックな詩を書いたもんです。
まぁ実際のクルマはスバル360だったらしく、
虫つながり、
これはこれでキレイなオチではあります。

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投稿: Anonymous | 2009.03.03 11:52

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